大麻の良し悪しが世界中で議論され、世界中が右往左往している。日本においては特にそうだと感じられるのだけれども、大麻は良いのか悪いのか、単純な二択で議論され、平行線をたどっている。良いか悪いかで言えば、良くもあり、悪くもある、という釈然としない答えが今は妥当だ。
何故なら、大麻について平行線を辿る議論は議論というよりも良いと考える人と悪いと考える人の意見表明にすぎず、議論ではない場合が多いからだ。噛み合わない、あるいは噛み合わせる気のない議論は議論ではないし、なんだか勝った負けた的な理論的でも科学的でも化学的でも医学的でもない感情優先感、あるいは結論ありきの不毛なエセ議論が蔓延しているように感じる。うまい具合にいけばバランスのとれた着地点を見い出せる議論にもなるのだろうが、現在は立場に関係なく振り上げた拳の下ろし場所がどこにもないままただただ漂っているように見える。あちらを立てればこちらが立たずのまま、法改正されたという事実だけが先行し、大麻の透明性は以前にも増して曖昧となり、不確かな逮捕や不起訴、あるいは大麻取締法と麻向法、特例法、薬機法などなどとの整合性は不確定要素が増えたような気がする。あっ、景品表示法やらタバコ法も関係してくるからややこしいところだ。もはやアンタッチャブルなのだけれども世界の動きもある中でそうとも言っていられないところでもあるから複雑だ、、、複雑に考えすぎかもしれないけれども。
また日本における2種類の大麻に関する免許、医療や医薬に関する資格や免許、そして麻薬取扱に関する免許などとの整合性についても不確定要素が多く、今後については先行き不透明で、楽観と悲観が入り混じった混迷の中にある。
さて、いまさらだけれども、大麻って何?の議論はまだ世界的に実は定まっていないし、思うようには進んでいない。産業用という言葉もあやふやだ。日本だけでなく世界中でなんとか誤魔化しながら大麻を運用してきた弊害が今まさに世界中で吹き出している。国情とも絡み医療と健康を謳いながら嗜好も謳歌できるタイやこれからはじまるドイツ、アーユルベーダの視点から一気に駆け上がる可能性のあるスリランカ、とうとう身を結ぶのかハワイ、虎視眈々と世界市場独占を狙う中国、、、、。アメリカやヨーロッパの右往左往、どうなるベトナムやラオスやミヤンマー、、、。
医療と嗜好は極めて親和性が高いとともに真逆に受け取られる場合もある。農作物であるとともに農作物ではないとも言える。医療用と嗜好用の境目は曖昧だ。用途によっては医療用と繊維用の境目も曖昧だったりする。植物学的にも1つ?2つ?3つ?それとも新しく生まれ続ける亜種も含めていくのだろうか、、、。
ところで、今年中には施行される法は、「大麻とは,大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。」という規定から、「大麻とは、大麻草(その種子及び成熟した茎を除く。)及びその製品(大麻草としての形状を有しないものを除く。)をいう。」と規定に変わる。何というか、種と茎は大麻じゃないんだよなぁ、、、そもそも法律上、、、なのはさておき。
先月はCBD関連団体の動きとして、一般社団法人 日本ヘンプ協会/一般社団法人 日本カンナビノイド協会/一般社団法人 日本カンナビジオール普及機構/一般社団法人 日本カンナビジオール協会/他 有志一同(順不同)による「健全なカンナビジオール(CBD)製品の発展に向けた共同声明」などもあり日本におけるCBD業界としての方向性が打ち出されたが、CBDがさまざまに変換できる麻薬原材料である点はどうするのだろうか、またTHCをはじめとするさまざまな成分の研究が進んだ場合にはどのような評価の変化をするのだろうか、、、。一部の検査機関の特権や利権に結びつかないことを望むが、、、。
さまざまな定義や規制法はあるものの、いわゆる合法化や非犯罪化を進める国もあり、規制を強化する国もある。どちらにしろ、アメリカにしろタイにしろドイツにしろどこにしろ、先行する見本もあり、成功部分や失敗部分を参考にすることができるはずだ。日本においてはなんだか薬物として規制をより強化する建て付けであり、かつ瑕疵だらけの法改正をしてしまったように感じるが、施行から5年間は一応の様子見期間としての余地も残してはある。その5年間にどのような動きができるかが良くも悪くも近視的ではあるけれどもこの先10年を決めていくことになるに違いない。翻弄されつつも流れに乗るのかあらがうのか
たかが大麻、されど大麻なんだよな、結局。
松浦 良樹〈Matsumura Yoshiki〉プロフィール
環境問題や自然エネルギー、伝統文化などをメインテリトリーとするライターとして様々な媒体に執筆。
NPO法人日本麻協会理事などを務め、2016年7月に理事・長岡 沼隆とともに国立京都国際会館で開催された「第1回 世界麻環境フォーラム」(別名「京都ヘンプフォーラム」)と呼ばれる「IHEF(International Hemp Environmental Forum)」の初イベントを開催した。このイベントには、世界中から麻の専門家や産業家の他、安倍昭恵総理夫人(当時)、京都市長、京都最古の神社である上賀茂神社宮司をはじめ、大麻に理解のあるメンバーが広く参加した。
また、蚊帳研究家として蚊帳の歴史や文化の研究に努めるとともに、ヘンプ100%の藍染の蚊帳やヘンプストロー、ヘンプフィルター、ヘンプなどの衣食に関わる大麻アイテムの開発に携わり、普及活動を続けている。
2019年ネパールで開催された「ASIA HEMP SUMMIT」において「大麻と蚊帳の博物館の創設」「日本の祈りに関連した大麻」に向けた企画で起業家賞を受賞。大麻の専門店「麻草屋」元代表。
また、タイ王国バンコクで開催された「アジア国際ヘンプエキスポ 2022 」では二大パビリオンのひとつ「golden hemp pavilion」の責任者を務めた。
2023年、青淵渋沢栄一翁顕彰会〈士魂商才〉賞を受賞。
アジア国際ヘンプEXPO2023では日本サイドの責任者として二つのブースとメインステージでのパフォーマンスをプロデュースした。