たかが大麻、されど大麻

まぁ、最近に限ったことではないんだけどね、大麻に関する対話って多くの人々が抱く、先入観や誤解と向き合う機会となってたりする。以前なら大麻に対して興味を持たなかった人たちが僕との会話をきっかけに質問をしてくれることも多いんだけど、その中には強い偏見が隠れていることがしばしばあったりする。繊維にはあんまり興味ないのかなぁ、ほぼ聞かれない。伝統とかは神社と相撲。基層文化にまで踏み込んで話せる機会はなかなかないなぁ。タイによく行くって言って少数民族の大麻文化について聞かれることあんまりないし、大概は嗜好、さらに他の薬物や女性関連に話は進むしね。

それはともかく、「大麻はアメリカのゾンビの街のような状態を引き起こす」とか断定口調で言われたりもする。きっと、メディアで報道されるような麻薬に関するネガティブなイメージから来ているんだろうし、実際には大麻が持つ医療的な可能性や、社会に与えるポジティブな影響についての理解が欠けているんだろう。大麻は万能ではないし、一長一短もあるし、まぁ、一般の理解はそんなもんだろうなぁ、とは思いつつ、反論を試みるときもあるんだけど、なかなか聞いてはもらえないところは歯がゆいところ。

こうした偏見に直面するたびに思うのは、まず相手の意見を尊重し、共感を示すことから始めるよう心がけ、「確かに、そういったイメージを持つ人は多いです」という言葉を使い、相手の感情に寄り添うことで、会話の場が少しでも和らぎ、よりオープンな対話が生まれることを期待しています、、、なんて正論で言えればいいんだけど、相手からすると「大麻の人はすぐムキになる」とか「だから大麻の人は」とか「なんでも大麻に結びつける」とか話せば話すほどマイナスになっちゃうこともしばしばあったりする。いろいろ考えちゃうよね。

僕が過去にそれなりに大きなイベントを毎年開催していた時に行政の担当者との対話を通じて感じたことは、理解を深めるためには忍耐と継続的な努力が不可欠であるということだったりもした。最初の頃、僕が「大麻」という言葉を使うと、ほとんどの人が拒絶反応を示し、会話は成立しなくて、「ヘンプ」や「麻」といった言葉を使うことで、少しずつ相手の興味を引くことに成功して、ヘンプが持つ環境への利点や、麻の伝統的な利用法を紹介することで、相手が持つ偏見を解消することができた。毎月のミーティングやら3回以上のイベントやって4年目のこと。

相手の理解を得るためには、言葉の選び方や話す内容が非常に重要ってことなんだよなぁ。会話を進める中で、実際に大麻がどのように人々の生活や健康に貢献しているのかを具体的な事例を交えて説明した。医療用大麻が疼痛管理や癌治療、精神的な問題の緩和に役立っている事例とか。

大麻の理解を広めるために力を入れているのは知識の共有。大麻に関する科学的な研究や医療での実績を紹介することによって、偏見を取り除くための根拠を紹介したり、最近の研究結果や医療用大麻が実際に役立った患者のケーススタディを紹介したり。

とはいえ、理解を深めるためには、経験と知識のバランスが重要だからって、大麻の効果を体験することも一つの手段なんだけど、「吸えばわかる」とかじゃない。それだけでは偏見を完全に取り除くことは難しいというか嫌いにさせちゃったりするし偏見を助長させることだってある。大麻に関する正確な情報や研究結果に基づく知識を持つことが、偏見を解消し、より多くの人々に大麻の真実を知ってもらうためには不可欠なんじゃないかなぁ。摂取することだけが大麻じゃないしね。

社会全体が大麻に対する正しい理解を深めることで、偏見を取り除き、よりオープンな議論ができる環境になればいいんじゃないかなぁ。日本を取り巻く状況はなんだか逆走してるような感じもあるけどね。大麻の持つポテンシャルを知ってもらうために、引き続き対話を重ね、理解を広めていくしかないんじゃないかなぁ。80年かかって今だから、80年かけて取り戻すくらいの気持ちを持ちつつ、世界情勢見ると早々にというジレンマも抱えつつ。

自然環境の問題や戦争における様々な大麻の役割、他の薬物との差異や類似、通常の食べ物との相違や類似、農業や作物としての大麻、伝統文化としての大麻、生活の中の大麻、それぞれの大麻について区別や親和性や定義や同一性なんかをちゃんとやって現実に落とし込むようにしていかないとワンネスやらラブアンドピースやらなんやらも分断と分裂の源になっちゃうし、言葉遊び。差別と区別、切り分け、相互理解とかもないとなぁ。右だからこうすべきだ、左だからこうすべきだ、反権力だからこうすべきだ、資本主義だから、社会主義だから、スピだから、環境派だから、とか大麻推進派だから、反大麻だからとか固定観念やらポジショントークもありつつ、容量用法じゃないけどバランスよくいきたいなぁ、それができるはずのなぁなぁな国のはずなんだよね、日本。

大麻問題はいろんな問題の象徴たり得るからもっともっと大麻、大麻、大麻、大麻でいえば、大麻風にいえば、って議論できれば良いなぁ、うざがられるだろうけど。大麻でも麻でもアサでもオオアサでもソでもソウでもウでもなんでも良いんだけどね、たかが大麻。だけど大麻なんだよね。たかが大麻、されど大麻。

最後は大麻、大麻、大麻って言いたいだけの締めくくりでした。たかが大麻、されど大麻なのです。

※次書く11月8日のときは国政やらアメリカ大統領選も終わって、世界はどうなってるんだろう、、、

 

 

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松浦良樹〈Matsumura Yoshiki〉プロフィール

 1970年生まれ。環境問題や自然エネルギー、伝統文化などをメインテリトリーとするライターとして『AFF』『GQJAPAN』『環境ビジネス』『Earth Journal』など様々な媒体に執筆。大麻関連媒体では『HEMP LIFE』『HEMP TODAY JAPAN』など。

NPO法人日本麻協会理事などを務め、20167月に理事長(当時)・岡沼隆とともに国立京都国際会館で開催された「第1 世界麻環境フォーラム」(別名「京都ヘンプフォーラム」)と呼ばれる「IHEFInternational Hemp Environmental Forum)」の初イベントを開催した。このイベントには世界中から大麻の専門家や産業家の他、日本からは安倍昭恵総理夫人(当時)、京都市長、京都最古の神社である上賀茂神社宮司をはじめ、大麻に理解のあるメンバーが広く参加した。

また、蚊帳研究家として蚊帳の歴史や文化の研究に努めるとともに、ヘンプ100%の藍染の蚊帳やヘンプストロー、ヘンプフィルター、その他、衣食住に関わる大麻アイテムの開発に携わり、普及活動を続けている。

 

2019年ネパールで開催された「ASIA HEMP SUMMIT」において「大麻と蚊帳の博物館の創設」「日本の祈りに関連した大麻」に向けた企画で起業家賞を受賞。

また、タイ王国バンコクで開催された「アジア国際ヘンプエキスポ 2022 」では二大パビリオンのひとつ「golden  hemp  pavilion」の責任者を務めた。

2023年、青淵渋沢栄一翁顕彰会〈士魂商才〉賞を受賞。

アジア国際ヘンプEXPO2023では日本サイドの責任者として二つのブースとメインステージでのパフォーマンスをプロデュースした。

 

現在、日本の基層文化である大麻の普及と啓蒙やタイと日本を結ぶ活動などを展開中。

2024年、本居宣長の宮〈特別賞〉を受賞。