世界はキメもので溢れてる〜Exit drugとしての大麻〜

ゲートウェイドラッグ理論は日本と一部の研究者たちを除けば破綻しちゃってるんだけど、敢えて出口としてゲートウェイを捉えれば、ゲートウェイではあるんだよなぁ。なんだかしっくりこないけど、ゲートアウトとかなんか良い言い方ないかなぁと考えていたら、単純に〈出口〉で良いらしい。出口=Exitで、gateway drugの反対でExit drug。

9月末に来日していた世界的権威、ルッソ博士も、改めて大麻はゲートウェイドラッグではなく、かえってその他のハードドラッグの緩和に使われるって言ってたしね。あまり嗜好としての吸引は勧めないとも言ってはいたけど、まぁ、それはそれとして。

日本では大きな社会問題にはなっていないけど、コンビニなどで合法的に手に入るアルコール飲料ってアルコールまわる前に上がっちゃうよね、一口目で。ドパーミンだかエンドルフィンだかなんだか知らないけど、ランナーズハイや身体ムキムキの人達同様、その先にある脳内麻薬ドバドバ、ドピュドピュなんだろう、きっと。

薬局で合法的に手に入る風邪薬なんかの過剰摂取は大麻なんかよりよっぽどタチが悪い。特に風邪薬なんか店舗前に山積み、箱買いしていく人いるのに黙認状態だもんなぁ。市販薬っていろいろな成分入ってて、いわゆるキメたりラリったりするための成分の純度を考えると混ぜもん多くて確実に身体壊すレベルなんだよなぁ。

まぁ、人類ってキメもの見つけるたびに喜んで、自然に頼らない人工栽培や抽出などの技術を磨いてきた。林檎にはじまり、小麦も米も人類はその発見に歓喜した。糖分ってキメもの。タンパク質もキメもの。カフェインはスマートドラッグの類いだしね。カカオもあがるし。お茶だってタバコ同様に薬だったり禁止だったり。元気になる、いわゆるアガったりするものは大歓迎だし、リラックスする、いわゆるラリるやつも大歓迎。

あんまり知られてないけど、ヒロポンはいまだに処方箋薬として存在するし、医療麻薬はたくさんあり、12月12日からは大麻も医療麻薬。今まで医療麻薬じゃなかったから医療では使えなかったけど麻薬になるから医療で使えるんだから複雑怪奇な話ではある。一部の患者だけが使用を認められることになる今回の新法って誰得だろう。THCの規制でこれまで一般流通していたものより効き目落ちるだろうに。それがわかってるから一部の難病患者はこれまでのものを使っても良いなんてよくわからないが変な抜け道はできたりする。それって施行前から瑕疵あるって認めてるようなもんだけど、それでいいんだろうかなぁ。使えるんだったら不公平なく誰もが使えるようにするのが法だと思うんだけどね。法改正で諦めてる人、無関心な人はともかく、喜んでる人、なんだか流されちゃってる人、いろいろいるけどどうなんだろうね。

新法のもとで免許を取得して栽培をはじめようとする人たち、出口は見えてるんだろうか。5年後の見直しに向けてさまざまな取り組みもあるかとは思うし、大学や企業の取り組みも活発化している。ちょっとした手違いやミスで必要以上に叩かれることもあるだろうし、合成にシフトしていくところも出てくるだろう。なんならどうせ違法だからとアンダーグラウンド化するところも出てくるだろうし、そうなれば法がゲートウェイ理論を補完し後押ししちゃうというよくわからない状況が作り出されて、5年後のより厳しい規制の論拠にされちゃうんだろうな。

10月末は日本の政治が大きく変化するし、11月上旬にはアメリカ大統領が決まる。そして11月中旬以降にはさまざまな大麻関連イベント。そして12月12日を迎える。さてさて。

たがか大麻、されど大麻です。

 

 

松浦良樹〈Matsumura Yoshiki〉プロフィール

 1970年生まれ。環境問題や自然エネルギー、伝統文化などをメインテリトリーとするライターとして『AFF』『GQJAPAN』『環境ビジネス』『Earth Journal』など様々な媒体に執筆。大麻関連媒体では『HEMP LIFE』『HEMP TODAY JAPAN』など。

NPO法人日本麻協会理事などを務め、20167月に理事長(当時)・岡沼隆とともに国立京都国際会館で開催された「第1 世界麻環境フォーラム」(別名「京都ヘンプフォーラム」)と呼ばれる「IHEFInternational Hemp Environmental Forum)」の初イベントを開催した。このイベントには世界中から大麻の専門家や産業家の他、日本からは安倍昭恵総理夫人(当時)、京都市長、京都最古の神社である上賀茂神社宮司をはじめ、大麻に理解のあるメンバーが広く参加した。

また、蚊帳研究家として蚊帳の歴史や文化の研究に努めるとともに、ヘンプ100%の藍染の蚊帳やヘンプストロー、ヘンプフィルター、その他、衣食住に関わる大麻アイテムの開発に携わり、普及活動を続けている。

 

2019年ネパールで開催された「ASIA HEMP SUMMIT」において「大麻と蚊帳の博物館の創設」「日本の祈りに関連した大麻」に向けた企画で起業家賞を受賞。

また、タイ王国バンコクで開催された「アジア国際ヘンプエキスポ 2022 」では二大パビリオンのひとつ「golden  hemp  pavilion」の責任者を務めた。

2023年、青淵渋沢栄一翁顕彰会〈士魂商才〉賞を受賞。

アジア国際ヘンプEXPO2023では日本サイドの責任者として二つのブースとメインステージでのパフォーマンスをプロデュースした。

 

現在、日本の基層文化である大麻の普及と啓蒙やタイと日本を結ぶ活動などを展開中。

2024年、本居宣長の宮〈特別賞〉を受賞。