日米大麻の温度差、そしてタイ王国、そして高木沙耶やら永山絢斗やら桜麻通りやら

 日本とアメリカの違いと共通点に苦笑いしてしまった。両方とも620日の記事だ。たまたまGoogleではなくYahoo検索をしていたらトップに出てきたのは、〈【永山絢斗逮捕】「大麻は無害」という大きな勘違いを元マトリ部長が徹底批判!(デイリー新潮)〉と〈「大麻が吸える高級ホテル」の全米展開を目指す起業家(Forbes Japan)〉だった。

 一方は、逮捕に合わせてわざわざ『マトリ―厚労省麻薬取締官―』(瀬戸晴海著/新潮選書)から抜粋した記事。ダメ、ゼッタイを基調に書かれていて、ツッコミどころもありつつも、大麻と麻は一緒だとか、ウッドストックのこと、室内栽培事情、「手塩にかけた大麻草が逮捕によって押収され、朽ち果てることにショックを受ける者」への心情理解とか、依存性の低さとか、意外と大麻を嗜好する人たちへの理解度は高いように見える。結論も〈いかに「海外では~」「医学的には~」と理屈を言ったところで、日本においては大麻所持は犯罪であり、逮捕された時点で人生が暗転するのは疑いようのない事実なのである。〉と逮捕されることの問題を指摘していたりするから面白い。

 そしてもう一方の〈「大麻が吸える高級ホテル」の全米展開を目指す起業家(Forbes Japan)〉だが、好意的に書かれているものの、読んでいくと実はグレーゾーンビジネスでいかに法をかいくぐりながらこの大麻フレンドリーのラグジュアリーホテルを展開していくかという話だ。一方は批判記事。もう一方は肯定記事。とはいえ〈「大麻は無害」という好意的な若者が増加中。逮捕に注意!〉とかでも通用する記事内容だ。もう一方についても〈「大麻が吸える高級ホテル」のグレーゾーンで全米展開を狙う企業家〉くらいのタイトルでも良い。タイトル、恐るべし。

タイ王国は混乱を乗り越えられるか

 そしてタイ王国。やっと先月の選挙が合法であることが確定し、7月中には首相が決まり、近々のタイ王国における大麻の流れも決まってくる。現状の実質上の合法化を維持するのか、それとも下院過半数をとった大麻反対派の意見が反映されていくのか、様子を見守る企業も多いが、当のタイ王国の大麻企業家たちは法に関しては楽観的だ。それよりも販売先や取引先、いわゆる出口を求めてさまざまな取り組みをすすめている。つい数日前には商務大臣も来日し、企業家たちも日本の麻畑やCBDショップの視察、日本企業との交流会も行われたばかりだ。そして今年11月にバンコクで行われる第2回アジア国際ヘンプEXPOに向けての動きも活発化してきている。

 嗜好にばかり目が向きがちだが、タイが進めるのは医療と健康をメインに、繊維や食、建材など多岐に及ぶ。医療施設のみならず産学連携も進んでいる。施設はピンキリではあるがアウトドア栽培もあるが、フルオートメーションシステムによる工場や研究施設におけるインドア栽培も多く、国を挙げての研究が進められている。

 まぁ、それはともかく、MASATAKA &高樹沙耶の「 - Legalize it」。宿泊施設・虹の豆にて撮影されたミュージックビデオもついでに見つけた。「医療大麻のお医者さん」正高佑志 っていうかラッパーのMASATAKAさんはさておき、高木沙耶は「はじめてのおつかい」(日本テレビ)の挿入歌、B.B.クィーンズの「しょげないでよBaby」やら高田純次&近藤房之助白いブランコでおやすみ」やT-BOLANJUST ILLUSION」やらの作詞もしている作詞家でもあるからなぁ。歌は、、、聞いてのお楽しみということで。

https://www.youtube.com/watch?v=xhO8yyTM-rY

MASATAKA & 高樹沙耶 - Legalize itOfficial Music Video

 そういえば、関係ないけど、麻布に桜麻通りもできる。北海道の大麻という地名と同じで直接ではなく間接的な名前で、桜田通りと麻布通りを結ぶから桜麻通りだけど、麻を冠する通りができるのはちょっと嬉しい。

 ということで、たかが大麻、されど大麻。

 

 

松浦 良樹〈Matsumura Yoshiki〉プロフィール

 環境問題や自然エネルギー、伝統文化などをメインテリトリーとするライターとして様々な媒体に執筆。

 NPO法人日本麻協会理事などを務め、2016年7月に理事・長岡 沼隆とともに国立京都国際会館で開催された「第1回 世界麻環境フォーラム」(別名「京都ヘンプフォーラム」)と呼ばれる「IHEF(International Hemp Environmental Forum)」の初イベントを開催した。このイベントには、世界中から麻の専門家や産業家の他、安倍昭恵総理夫人(当時)、京都市長、京都最古の神社である上賀茂神社宮司をはじめ、大麻に理解のあるメンバーが広く参加した。

 また、蚊帳研究家として蚊帳の歴史や文化の研究に努めるとともに、ヘンプ100%の藍染の蚊帳やヘンプストロー、ヘンプフィルター、ヘンプなどの衣食に関わる大麻アイテムの開発に携わり、普及活動を続けている。

 2019年ネパールで開催された「ASIA HEMP SUMMIT」において「大麻と蚊帳の博物館の創設」「日本の祈りに関連した大麻」に向けた企画で起業家賞を受賞。大麻の専門店「麻草屋」代表でもある。

 また、タイ王国バンコクで開催された「アジア国際ヘンプエキスポ 2022 」では二大パビリオンのひとつ「golden  hemp  pavilion」の責任者を務めた。

 2023年、青淵渋沢栄一翁顕彰会〈士魂商才〉賞を受賞。