臨時国会で大麻取締法の改正成立、、、なんだろうなぁ

 今月に開催される予定の臨時国会で大麻取締法の改正案が提出される予定だ。改正案では現在禁止されている大麻由来の医薬品の使用を認めることや、いわゆる「使用罪」を新たに創設することなどが盛り込まれる。決まれば猶予期間を経て2025年に施行される予定だ。

 さて、検討会にはじまり厳正な法的手順を粛々と進めてきた法改正案がいよいよ国会で議論される。国会の俎上に乗るということは満を持して確実に法案が通ることを見越しての動きであり、よっぽどのことがない限り通るということなのだろう。新規法案の提出が昨年の22法案に比べて10法案しかない点を考慮しても突然の国会解散や他法案の紛糾、あるいは文春砲の炸裂でもなければ時間切れの廃案もなさそうだ。他の重要法案と共に、どの議員がどのような意見や立場で賛成し、どのような議員が反対するのか、よくみておきたいところだ。

 さて、検討会に始まり、民間団体の勉強会、議員の自己調査などなど確かに法改正に向けた動きは活発だ。だがどこまで現状や未来を考えた上での改正なのだろうか。大事なことなのでもう一度いう。どこまで現状や未来を考えた上での改正なのだろうか。うわっ滑りの議論、してない?

 国会において法改正に賛成するにせよ反対するにせよ、各議員はどの程度の熱量なのかは知らないが、国民の代表として可否に投票する。そこには責任が伴う。当然、後になって知らなかったや勉強不足だったなどは弁解にもならない。特に賛成議員。多くの問題点や疑問点などを解消あるいは理解した上での国会での賛成であり反対の投票であり、どちらにしろこれまで同様に国会でも真摯で誠実で粛々とした議論が行われた上での法案可決、あるいは否決、あるいは継続審議となるのだろう。そうでなければ国会の意味はない。中身の伴わない法改正のための法改正では無理と無駄に過ぎる。

 あらゆることを想定して瑕疵のない法案が成立することを望むし、法案審議を望む。そして賛成した議員、反対した議員にはどのような法案になるにしろ責任があることを忘れてはならない。

 さて、大麻取締法改正案。

法改正の前段階として、

1、大麻って何?

2、大麻取締法はどう改正する必要ある?

 という問題はそもそもクリアにされているのだろうか。例えば、大麻とヘンプとマリファナ、あるいは産業用大麻と医療用大麻と嗜好用大麻の違いってなんだろう。法的定義をどう変更するのだろう。

 現在の法律では法的大麻と法運用上の大麻は誤差がある。そして現法律では樹脂は違法だが茎と種から精製したCBDは運用上違法ではない。また、医療行為は4条により違法だが治験は運用上違法ではない。法の文面が法運用や解釈によって面倒なことになっている。その辺も法案作成者が頭をフル回転させているところだろうが、注視したいところだ。

そして、

3、一部の農家ではなくたった30人もいない大麻農家から現状や未来、法に対する要望などは聞いてみた?

4、数多くの大麻農家希望者から現状や未来、法に対する要望などは聞いてみた?

5、新薬を待ち望む一部ではない病院や患者、支援団体などの要望は聞いてみた?同様に反対意見は?

6、今までもこれからも犯罪者は犯罪者かな?話聞いてみた?新しい法律やら新しい基準、それらに関する施設などは用意できた?

7、賛成者だけでなく建設的で前向きな反対者の意見も聞いてみた?

と言った国会に参考人誘致しないのなら事前に済ませておきたい一部ではない多くの徹底したヒアリング調査やら終わってる?資料ある?

8、種の問題はどうするのだろうか?重要なのでもう一度。種の問題はどうするのだろうか?

9、CBDは安全なのだろうか?他の成分に作り替え可能だったりしちゃったりして。

10、合法及び規制対象の合成カンナビノイド、レアカンナビノイドについて

11、種やCBDなどの成分検査や管理が一部企業の利権になる法改正ではありませんか。また一部官僚の天下り先確保などではないですよね。

12、検査や管理団体、そして検査機器などはどうしましょうね。それを認定する機関も必要ですね。

さらに、

13、世界の大麻との品質や価格競争などは考慮に入れていますか?

14、バイオマスやCO2削減などについて竹や間伐材、その他のものと比較して大麻はどうなのでしょう?

15、さらに、さらに、というかそもそもとしてさまざまな側面からメリットとデメリットの比較はした?

 くらいの最低限の議論はクリアした上で、どうしても法改正するのであれば、「3年間の実験的施行と調査調整を行い、報告書の作成、民間有識者による公平な検討会などを重ね、国会審議の上、再法改正する」といったような補足を盛り込んで欲しいなぁ。願望その一。

 ついでに厚労省から農水省管轄に戻してくれないかな。願望その二。

 成分規制に変えたら麻向法やら特例法で十分でしょ、大麻は麻薬になるんだし。経産省はまぁ良いとして、環境やら文化の面からもしっかり考えて欲しいなぁ。各省庁。そして県やら税関やらなんやら関係省庁とかの擦り合わせやら他法律との擦り合わせもしておかないと複雑怪奇なことになる。4条消すだけで医薬はいけたような気がしなくもないけど、そもそも検討会からして意図せずして大麻の検討会じゃないし、複雑怪奇なことになってるし。さて、どうするんだろう。

 大麻を巡る世界の動きは良くも悪く複雑怪奇。大麻の定義すらあやふやなままだ。今のタイミングなら世界標準というか世界基準になる世界をリードする法改正も可能なのだけれども、そんな感じの法改正ではなさそうだ。さて、ベタな話だが、法は国民のためのもの。一部の利益や利権のためにあるものではない。たかが大麻、たかが大麻取締法だが、法改正が社会や経済、さらに個人の権利や自由にことさらに侵害して良いものではない。より良き社会を保ち、未来を構築するために法はある。さて、たかが大麻、されど大麻。それぞれの議員さんたちはどのように判断するのだろう。あ、時間は限られてるけど、賛成にしろ反対にしろ声を上げる時間はもう少しだけ残されている。さて、どうしたもんだろうか。

 

 

松浦 良樹〈Matsumura Yoshiki〉プロフィール

 環境問題や自然エネルギー、伝統文化などをメインテリトリーとするライターとして様々な媒体に執筆。

 NPO法人日本麻協会理事などを務め、2016年7月に理事・長岡 沼隆とともに国立京都国際会館で開催された「第1回 世界麻環境フォーラム」(別名「京都ヘンプフォーラム」)と呼ばれる「IHEF(International Hemp Environmental Forum)」の初イベントを開催した。このイベントには、世界中から麻の専門家や産業家の他、安倍昭恵総理夫人(当時)、京都市長、京都最古の神社である上賀茂神社宮司をはじめ、大麻に理解のあるメンバーが広く参加した。

 また、蚊帳研究家として蚊帳の歴史や文化の研究に努めるとともに、ヘンプ100%の藍染の蚊帳やヘンプストロー、ヘンプフィルター、ヘンプなどの衣食に関わる大麻アイテムの開発に携わり、普及活動を続けている。

 2019年ネパールで開催された「ASIA HEMP SUMMIT」において「大麻と蚊帳の博物館の創設」「日本の祈りに関連した大麻」に向けた企画で起業家賞を受賞。大麻の専門店「麻草屋」代表でもある。

 また、タイ王国バンコクで開催された「アジア国際ヘンプエキスポ 2022 」では二大パビリオンのひとつ「golden  hemp  pavilion」の責任者を務めた。

 2023年、青淵渋沢栄一翁顕彰会〈士魂商才〉賞を受賞。