420の日に

 420。とりあえず大麻に興味のある、特に嗜好としての大麻に興味のある人にとっては世界的に広く知られた数字だし、420にちなんで4月20日は世界各地でイベントなども開催される。イベントに参加しなくても何かしら意識する日だ。あんまりそんなに愛着のある数字ではないんだけれども、まぁ、よく聞く数字だ。CBDやいわゆるヘンプには関係ないはずだけどね。とりあえず、めでたい日だ。記念してさまざまな場所でお祝いする人も多いんじゃないだろうか。

 そんな良き日に言うことではないけれども、RaDPi-U(ラドパイ ユー)」という名前は覚えておいても良いかもしれない。愛知県警科学捜査研究所、いわゆる科捜研と近畿大学などが開発した装置名だ。尿一滴もあれば3分以内に40種類程度の薬物を判別できるようで、40種類というのは市場に出回りやすい薬物にターゲットを絞ったものらしい。持ち運びができて200ボルト電源で動作可能だからその場で特定可能で、これまでの簡易検査のように「疑似陽性」とはいかない精度らしい。薬物全般の話はさておき、「私のものではありません」「大麻ではありません」は今後の裁判では通用しないかもしれない。

 まぁ、改正大麻取締法(「大麻草の栽培の規制に関する法律」)とは関係なく、大麻は麻向法(「麻薬及び向精神薬取締法)の麻薬扱い。厳密にいえば法律上は種と茎は大麻ではないという規定は残ったけど、すでに瑕疵がある法律だよな。どう運用するのか、まだまだ検討課題藪の中だ。いろいろ頭抱えてるんじゃないかなぁ。とりあえず、公布した日から一年以内を目処に施行だから今年の6月とは言わないまでも12月13日までには施行するんだろうけど、「栽培には免許が必要だよ(意訳)」っていう部分以外の法律に関しては「2年以内の施行でも良いよ(意訳)」ってなってるから、まぁ、ゆっくり考えて欲しいところではある。

 「大麻草からの成分抽出等の加工(繊維などの採取は除く)は、上乗せで、許可制度を設定」なんてことも言っちゃってるから、これまでの都道府県知事認可ではなく新しく創設された厚生労働大臣が認可する「第二種大麻草採取栽培者免許」が取得できても、なんだかこれからできるさらに新しい上乗せされた免許ないと何にもできなさそうでもあるしね。

 さらに、THCの濃度も決まらないし、「大麻草由来の成分の内、化学変化により容易に大麻成分(麻薬)を生じる一部の成分(例 THCA)について、麻薬とみなして規制をおこなう」とか日本語として微妙、取り締まり側の考え方がわかる文章、かつCBDはどうすんの?いわゆる麻薬に変えられるよって突っ込みたくもなる感じもあるし、どうするんだろね。現状の免許を持つ栽培者もどこまでが良くてどこからが違法なのか曖昧かつ戸惑いを隠せない、そしてまだまだ内容が曖昧な法律で、施行できるのか心配になる。有識者の話し合いの段階から見切り発車というか決め打ちで、国会でも見切り発車で決め打ちで、施行も見切り発車にしちゃうのかなぁ、と心配になるが、まぁ、5年の猶予あるからなんとなく許可したり、なんとなく捕まえたり、なんとなく不起訴にしたりしながら考えていくのかなぁ。それじゃ困るけど。免許持ちもこれから免許を目指す人も、真面目も不良も、逮捕される人も逮捕する人も、裁く人も裁かれる人も、大麻のない生活を営む人も、大麻に理解ある人も理解のない人も、多くの人が戸惑う誰得な法の施行はできるだけ慎重に、できるだけしっかり考えて作り込んで欲しいところなんだけど、どうなんだろうね。

 80年かけて現在。80年かけてゆるゆると、、、、、、、、、、、、、、、たかが大麻、されど大麻です。

 

 松浦 良樹〈Matsumura Yoshiki〉プロフィール

 1970年生まれ。環境問題や自然エネルギー、伝統文化などをメインテリトリーとするライターとして『AFF』『GQJAPAN』『環境ビジネス』『Earth Journal』など様々な媒体に執筆。大麻関連媒体では『HEMP LIFE』『HEMP TODAY JAPAN』など。

 NPO法人日本麻協会理事などを務め、20167月に理事・沼隆とともに国立京都国際会館で開催された「第1 世界麻環境フォーラム」(別名「京都ヘンプフォーラム」)と呼ばれる「IHEFInternational Hemp Environmental Forum)」の初イベントを開催した。このイベントには、世界中から大麻の専門家や産業家の他、安倍昭恵総理夫人(当時)、京都市長、京都最古の神社である上賀茂神社宮司をはじめ、大麻に理解のあるメンバーが広く参加した。

 また、蚊帳研究家として蚊帳の歴史や文化の研究に努めるとともに、ヘンプ100%の藍染の蚊帳やヘンプストロー、ヘンプフィルター、その他、衣食住に関わる大麻アイテムの開発に携わり、普及活動を続けている。

 2019年ネパールで開催された「ASIA HEMP SUMMIT」において「大麻と蚊帳の博物館の創設」「日本の祈りに関連した大麻」に向けた企画で起業家賞を受賞。

 また、タイ王国バンコクで開催された「アジア国際ヘンプエキスポ 2022 」では二大パビリオンのひとつ「golden  hemp  pavilion」の責任者を務めた。

 2023年、青淵渋沢栄一翁顕彰会〈士魂商才〉賞を受賞。

 アジア国際ヘンプEXPO2023では日本サイドの責任者として二つのブースとメインステージでのパフォーマンスをプロデュースした。

 

現在、日本の基層文化である大麻の普及と啓蒙やタイと日本を結ぶ活動などを展開中。