CBDは麻薬原材料?!

“I know you won’t believe me, but the highest form of human excellence is to question oneself and others.”

 意味は、「信じられないとは思いますが、人間の卓越性の最高の形は、自分自身と他人を疑うことです。」うーん、含蓄のある言葉だ。ちなみにソクラテスが残した言葉らしい。

それはそうと、僕は今、タイにいる。22日から始まるアジア国際ヘンプEXPO&フォーラム2023https://www.asiahempexpo.com/)で日本ブースを出店するためだ。今年は大麻の食と日本文化、そしてタイと日本の調和がテーマだ。偶然か必然かは置いておいて、縁とタイミングがあれば是非。

 そんなこんなで僕はタイだが、日本は大麻取締法の改正、そして絶妙のタイミングでHHCHでの10人にも及ぶ緊急搬送者を出し、法改正による規制強化の後押しといった感じだ。粛々と法の手順に沿って進められてきたいわゆる成分規制と使用罪がより現実化および世論まで味方にして進められていくことになる。

 大麻は麻薬になることで、大麻取締法は疑似麻向法になる。これまで以上にTHC取締法として機能しやすくなった。とはいえ、大麻は麻薬になることで待ったなしの患者さんたちには医療麻薬として使用が認められるようになる。素晴らしいことだが、今回の法改正ではTHCを悪者にしすぎだ。THCの医療効果はゴッソリと抜け落ちている。THCの効果やら、THCを含む医薬はこれからどうなるのだろう。使用できるCBD製剤、今回の場合は英国に本社があり日本にも支社のあるGWファーマ(https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2031220041)の一人勝ち状態だけれど、それってどうなんだろう。

 また、麻薬原料としてTHCの前駆体であるTHCAなどは麻薬原材料として規制対象となる。THCAの輸入と販売を目論んでいた団体もあったが、規制前の一回の輸入にとどまらざる得ないが国や厚労省、税関と争うのだろうか。そして厚労省も当然知っている、実験まで発表していることだけれども、CBDからTHCの製造は可能だ。それは民間の資料や海外の資料ではなく規制小委員会で明確にデータがあり、公表されている。

 

さらに今日まで深いことは、CBDからTHCができるということだけではなく、その他様々な成分に変換できることは40年前から解明されていたということだ。これは「ダメぜったい」の立役者の一人ともいっても良い九州大学薬学部教授の西岡 五夫氏が1981年に発表した「大麻に関する生薬学的研究」という論文だ。

 すでに数多くのカンナビノイドの解明がなされており、CBDTHCの変化過程も記されている。「CBNには幻覚発現作用はなく、毒性はかなり強い」なんて記述も見られるが、毒性って何だろう。他にも「日本で大麻製剤が使われなかったのはTHCTHCAが安定させられなかったからで、結構安定できるようになってきたよ」(※松浦意訳)なんて記述もある。改めていうとこれは1981年の論文。40年以上前の話だ。40年以上前からCBDからTHCができるとわかっていたことになる。今やってる議論ってなんなんだろう。

 さて。麻薬原材料は厳しく規制する方針の法改正だが、CBDを含む現在合法のカンナビノイド類は一般流通も含めてこれまでと変わらないと言い切れるのだろうか。規制されているカンナビノイド類は医薬には絶対にダメ絶対なのだろうか。医薬としてのCBDにはGOが出る。きっと、たぶん、もしかしたら、創薬立国を目指す日本から新薬がでる可能性も否定はしきれない。ひとつの研究に100億円くらいの研究費で10種類くらい頑張れば1つくらいはものになるかもしれない、たぶん。海外は1研究に1000億くらい突っ込むらしいけど、日本クオリティはそれを凌駕するはずだ、たぶん。それはともかく、医薬以外のCBDはどうなるのだろうか。そしてその他のカンナビノイド類は、、、。

 なんだか色んな意味で茶番、、、とまでは言わないが、国は100年計画で物事を進める。人ひとりはせいぜい数十年だ。その時間差や気力やコストを埋めるのはなんだろう。改正だ!合法化だ!と一喜一憂している場合でもないだろう。まぁ、施工後の5年間にどのように動くかだ。動くのは世界情勢だけじゃない。人の動きも重要だ。何もかも黒船ばかりに頼り、ゲートウェイ理論もどきの玉突き棚ぼた的な大麻解放運動や非犯罪化待ちじゃ変わるものも変わらない。先行事例は国内外にたくさんある。運動論の見直しも必要だろうし、一般に通用する吸わなくてもわかる理論構築も必要だろう。

 あ、大麻って嗜好だけではなく、さらに経済的なものというだけではなく、日本においては基層文化にまで遡れる大切なもの。そして雑草から神のあいだを内包する多様性のあるもの。たかが大麻、されど大麻。さて、世界においては、そして日本においてはどう変わっていくのだろう。「大麻の卓越性の最高の形」ってなんだろう。

松浦 良樹〈Matsumura Yoshiki〉プロフィール

 環境問題や自然エネルギー、伝統文化などをメインテリトリーとするライターとして様々な媒体に執筆。

 NPO法人日本麻協会理事などを務め、20167月に理事・長岡 沼隆とともに国立京都国際会館で開催された「第1 世界麻環境フォーラム」(別名「京都ヘンプフォーラム」)と呼ばれる「IHEFInternational Hemp Environmental Forum)」の初イベントを開催した。このイベントには、世界中から麻の専門家や産業家の他、安倍昭恵総理夫人(当時)、京都市長、京都最古の神社である上賀茂神社宮司をはじめ、大麻に理解のあるメンバーが広く参加した。

 また、蚊帳研究家として蚊帳の歴史や文化の研究に努めるとともに、ヘンプ100%の藍染の蚊帳やヘンプストロー、ヘンプフィルター、ヘンプなどの衣食に関わる大麻アイテムの開発に携わり、普及活動を続けている。

 2019年ネパールで開催された「ASIA HEMP SUMMIT」において「大麻と蚊帳の博物館の創設」「日本の祈りに関連した大麻」に向けた企画で起業家賞を受賞。大麻の専門店「麻草屋」代表でもある。

 また、タイ王国バンコクで開催された「アジア国際ヘンプエキスポ 2022 」では二大パビリオンのひとつ「golden  hemp  pavilion」の責任者を務めた。

 2023年、青淵渋沢栄一翁顕彰会〈士魂商才〉賞を受賞。