chillだけが大麻の面白さじゃない

 11月8日、現在国会で開催中の厚生労働委員会を視聴しているのだけれども、大麻以外にも生活に密着した重要課題ってたくさんあるんだなぁ、知らんことばかりだ。まぁ、大麻に関心があるから観てるだけで、その他の問題に関心がある人から見れば大麻に関することにはあんまり興味ないだろうなぁとは思う。自分の大事は他人の大事ではない。それでも、議論されること、そしてそれを観ることで僕が他の事案を知り、そして多少なりとも関心を持つことができたように、この委員会を観ることで少しでも大麻についての問題に興味関心を持ってもらえればありがたい。あっ、議論してる議員は興味関心を持ってもらうだけではどうしようもないけど。

衆議院インターネット中継(https://www.shugiintv.go.jp/jp/)

 民間が国内外に関わらず、そして表裏に関わらず動き出しているように、法改正に向けて、あらためてさまざまな大麻関係者が厚労省にレクチャー、あるいは意見交換に出向いている。国会議員がいまさらのように大麻農家への訪問を模索したり、レクチャーを希望したりもしている。しないよりはマシだが、このタイミングで関係者にちょこっと話聞いてわかった気になるのはどうなんだろうね。結論ありきの勉強会やらレクチャー受けてどんな意義があるのか僕にはわからない。まぁ、どのような質問するのか、どのような立場で賛成し、反対するのか、それには興味がある。選挙を勝ち上がった議員はそんなに馬鹿ではないし、それらを報道するマスコミもマスゴミと一言で語れるほど愚かではない。なんとかメガネなんて揶揄される人もそうだ。それぞれがそれぞれの立場と思想を持って国民のために奉仕する立場であることは言うまでもないことだ。

 その上で、今回の大麻取締法における法改正の中身は苦肉の策で免許の問題、種の問題、そしていわゆる「使用罪」に向けた麻向法に傾いた法案となっているのだけれども、施行後の社会情勢や国民理解、そして運用の状況次第で変更が可能となっている点においては評価したい。ていうか、それができるようにしたことで更なる法改正をするという余地と確約ができたということだ。法改正後を見据えた保険でもある。世界の流れは概ね大麻の有用性を認める方向に向かっている。国によって完全合法、一部合法、非犯罪化などなどさまざまな対応があり、もちろん断罪を持って処罰する国もまだまだある。しかし、大きな流れとしては医衣食住の分野、そして経済面も含めてさまざまな観点から大きく動き始めている。

 日本においては何周かの周回遅れで、もはや追いつくことは不可能な分野もある。世界ではグリーンオーシャンからレッドオーシャンへと突入、新たな枠組みの模索へと動き始めている。大麻をめぐる世界市場は品質競争、価格競争、そして技術開発や創薬などなどより大きく動き出すことになる。日本においてもすでに免許がおりたり、おりる確約のもとに準備を進める企業も現れ始めている。出口はあるのか、海外との競争力はあるのか、先行する競合他産業に食い込めるのか、国産というだけで勝負できるのか、、、などなど不安と希望が交錯する。目先の利益や利害、そして利権などを追っていては淘汰されることは明らかだ。大麻に関するあらゆる分野で日本独自の大麻を模索する必要があるだろう。そして、表面化しているトピックスだけでなく、水面下ではさまざまな国が産学官合同で動き始めている。しかし、日本の動きは限定的だ。数百億以上の予算を注ぎ込もうという動きに日本、そして日本の各企業は太刀打ちできるのか、あるいはそのような動きに食い込んでいけるのか、あるいは食い殺されるのか、、、今回の法改正後の法運用、そして5年後の改正、さらにその後に向けてやれることは何か、これからがこれまで以上に考えていく時間であり猶予なのだろう。

 たかが大麻、されど大麻。chillだけが大麻の面白さじゃない。面白い時代に私たちはいる。

 あっ、世界情勢の一端を感じるには是非タイへ。EXPO &ツアーもあるよ。

https://www.asiahempexpo.com/

 

松浦 良樹〈Matsumura Yoshiki〉プロフィール

 環境問題や自然エネルギー、伝統文化などをメインテリトリーとするライターとして様々な媒体に執筆。

 NPO法人日本麻協会理事などを務め、2016年7月に理事・長岡 沼隆とともに国立京都国際会館で開催された「第1回 世界麻環境フォーラム」(別名「京都ヘンプフォーラム」)と呼ばれる「IHEF(International Hemp Environmental Forum)」の初イベントを開催した。このイベントには、世界中から麻の専門家や産業家の他、安倍昭恵総理夫人(当時)、京都市長、京都最古の神社である上賀茂神社宮司をはじめ、大麻に理解のあるメンバーが広く参加した。

 また、蚊帳研究家として蚊帳の歴史や文化の研究に努めるとともに、ヘンプ100%の藍染の蚊帳やヘンプストロー、ヘンプフィルター、ヘンプなどの衣食に関わる大麻アイテムの開発に携わり、普及活動を続けている。

 2019年ネパールで開催された「ASIA HEMP SUMMIT」において「大麻と蚊帳の博物館の創設」「日本の祈りに関連した大麻」に向けた企画で起業家賞を受賞。大麻の専門店「麻草屋」代表でもある。

 また、タイ王国バンコクで開催された「アジア国際ヘンプエキスポ 2022 」では二大パビリオンのひとつ「golden  hemp  pavilion」の責任者を務めた。

 2023年、青淵渋沢栄一翁顕彰会〈士魂商才〉賞を受賞。