何度目かの大麻の愚痴

 医療用の大麻は健康になり、娯楽用の大麻は脳や身体に悪影響をおよぼすらしい。そして、大麻はその他の薬物に手を染めるゲートウェイドラッグだが違法薬物から手を引く出口ともなるらしい。以前ならムキになって様々反論やら反証やらしちゃうところなんだけど、まぁ、それも雑草と神のあいだを包括する大麻の多様性、そして容量用法なんだと思うようにしている。

 だってさ、エビデンスだエビデンスがって言う割に反論やら反証どころか言葉の定義も曖昧で、あんまり話を聞くきはない場合が多い。「大麻に興味があります」「大麻のこと教えてください」って言うから時間をとって、その人その人の聞きたいことや持ってる知識に合わせてできるだけわかりやすいように噛み砕いて話しても、放射能やら放射線を防ぐだの中和するだの消滅させるだの、波動がーだの、大麻で有名な誰彼と親しくしてるだの、あーだのこーだのの同調圧力が酷い。

 大麻は放射能やら放射線は防げないし、中和はしないし、消滅もさせない。スピチュアル用語の波動と科学用語の波動は意味合いが違う。知り合いの話は知らん。まぁ、大麻への想いの強さは大概伝わってくるので無下にはしないけれども、最後には「松浦もそのうちわかる、まだそのタイミングじゃない」とか善意を込めて、あるいは憐れむように言ってくるのでタチが悪い。「松浦は大麻の話ししかしない」と言われることもあるが、基本的に聞かれた時と聞かれたことにしか答えたことはない。農業でも伝統文化でも、なんならエコでもエロでもなんでもかんでも大麻に寄せて話すことはできるが関係なく話すこともできるし、その方が楽しかったりする。

 それはともかく、大麻の話しと一言で言っても、大麻そのものなのか大麻由来の何かなのか、大麻に似せた何かなのか、あるいは農業としての大麻なのか、医療としての大麻なのか、嗜好としての大麻なのか、はたまた社会問題としての大麻なのか、伝統文化としての大麻なのか、シャーマニズムや宗教としての大麻なのか、それらさまざまな切り分けられたジャンルと大麻の関わりなのか、統合する試みなのか、、、。

 大麻だけでも世界中が大混乱に中にある中で、大麻と地球や宇宙との関わりもある。まぁ、小さくまとめるにしろ、大麻の定義も曖昧な中で日本においては法改正が行われ、今年中のどこかのタイミングで施行されることになるはずなんだけど、どう運用していくのかについて厚労省や警察、各関係省庁からも関連民間団体からも曖昧な話ししか出てこない。なんとなく、ふわっと、なし崩し的に大麻ろ大麻由来成分配合の、今後麻薬と呼ばれる物についての取り締まりだけがどんどん強化されている。あんぱんのケシの実やらポピー、あるいは風邪薬の麻黄みたいなもんなのかなぁ、扱いとしては。純粋な成分規制への変更ではないし、施行後の運用はどのようになるのか、またどのような前例を裁判所が積み上げていくのか、難しい判断があるように思う。

 砂上の楼閣、砂上の論理、コップの中の嵐で自分たちの首を絞める議論だけは勘弁願いたい。たかが大麻、されど大麻なのだ。タイハラやらハラハラしてる場合じゃないのだ。

※毎回おんなじことばっかりだが、大事なことなので改めて書き殴ってみました。

松浦 良樹〈Matsumura Yoshiki〉プロフィール

 1970年生まれ。大麻の専門店「麻草屋」元代表。環境問題や自然エネルギー、伝統文化などをメインテリトリーとするライターとして『AFF』『GQJAPAN』『環境ビジネス』『Earth Journal』など様々な媒体に執筆。大麻関連媒体では『HEMP LIFE』『HEMP TODAY JAPAN』など。『』では「大麻のトリセツ」を連載中。

 NPO法人日本麻協会理事などを務め、20167月に理事・沼隆とともに国立京都国際会館で開催された「第1 世界麻環境フォーラム」(別名「京都ヘンプフォーラム」)と呼ばれる「IHEFInternational Hemp Environmental Forum)」の初イベントを開催した。このイベントには、世界中から大麻の専門家や産業家の他、安倍昭恵総理夫人(当時)、京都市長、京都最古の神社である上賀茂神社宮司をはじめ、大麻に理解のあるメンバーが広く参加した。

 また、蚊帳研究家として蚊帳の歴史や文化の研究に努めるとともに、ヘンプ100%の藍染の蚊帳やヘンプストロー、ヘンプフィルター、その他、衣食住に関わる大麻アイテムの開発に携わり、普及活動を続けている。

 2019年ネパールで開催された「ASIA HEMP SUMMIT」において「大麻と蚊帳の博物館の創設」「日本の祈りに関連した大麻」に向けた企画で起業家賞を受賞。

 また、タイ王国バンコクで開催された「アジア国際ヘンプエキスポ 2022 」では二大パビリオンのひとつ「golden  hemp  pavilion」の責任者を務めた。

 2023年、青淵渋沢栄一翁顕彰会〈士魂商才〉賞を受賞。

 アジア国際ヘンプEXPO2023では日本サイドの責任者として二つのブースとメインステージでのパフォーマンスをプロデュースした。

 

現在、日本の基層文化である大麻の普及と啓蒙やタイと日本を結ぶ活動などを展開中。