
本日102巻が発売!漫画ワンピースの話
過去の話に遡りアラバスタ編。大人になって読み返してみますと、これがまた非常に深い話。アラバスタ編のテーマが"戦争"でもある事も読み解く事が出来ます。
アラバスタ国王コブラにとっては"国とは人”であり、人が居続ける限り文明や商業など国は自ずと栄えていくものであるという国王の思想が物語を通して一貫と描かれている。王女であるビビも同じ。
一方、クロコダイルが思う国とは"領土や土地"そして軍事力であるかのように窺える。同じ「国」であっても解釈や考え方は、人それぞれ異なるということであろう。
ルフィとクロコダイルのやりとりの中で印象深かったシーンをご紹介。
まだ返して貰ってねェからな…!!お前が奪ったものを…!!!
おれが奪った…? "金"か…? "名声"か…"信頼"か!?… "命"か? ……"雨"か!!? クハハハ何を返してほしい奪ったものならいくらでもある
「"国"!!!」
国……!? 可笑しな事を言う奴だ…国はこれから貰うのさ…おれがこの地の王となり支配する事でな…!!
(ワンピース二十二巻"HOPE!!"より)
クロコダイルにとっては「土地」を国と考えているかと推測が付きます。そして軍事力で支配をする事が国としてのあり方と考えているかと物語を通して窺えます。それがクロコダイルにとっては"国"なのであろう。
どんな言葉一つであろうと、概念というものは人それぞれ。受け取り方も人それぞれ。だからこそ思想や考え方の違いが生まれる事は悪い事だとは私は言い切る事は出来ません。思想の違いがなければ新たなものや文明、文化も誕生しないと私は考えるからである。
千差万別、多様な考え方があってよいと思います。それ故に多種多様な人間の生きる世の中は複雑なので「これが正解」というのも定義づけるのもなかなか難しい。人間としての善悪、人道的なものはさすがに人なりには各々が持ち合わせていてほしいと思うところ。だからこそ教養を得る事も大切。しかしその反面、思想の違いなどが戦争や争いを生むきっかけにもなり得ないとも思います。正解は存在しない。
ワンピース作中の話に戻りますが、「何が正義?何が世界政府?」と疑問に思ったたしぎ(海軍)は、アラバスタ国内での砲撃を止める為に自身の意思で、海賊のルフィ達を援護する事になります。そのような垣間見える人間模様もアラバスタ編の醍醐味であると私は感じます。
しかしその反面、たしぎにとってその行動は、今まで貫いてきた筈の"海賊とは悪である”といった「正義」には反する行為であった。人間だからこそ悩み、決断する。それが人間味というものではないか。
そしてアラバスタ編とマリンフォード編にて共通して似たような状況描かれている。一度人間は争いを始めると、自ら争いを止める事が容易ではない。例え争いの"目的"を失ったとしても。それが人の持ち得る、狂気と呼ばれる類のものなのかなと考えさせられた。これは漫画の中の世界だけには留まらないように思う。むしろ現実世界で起こりうる、あるいは世界のどこかで既に起きている(起きてきた)ものであると思う。
人間とは悲しくもそんな性質なのであろうか。共通事項は「みな人間」であるのに、人間はそれぞれ生まれてから育ってきた環境も一人一人異なるので、必然と思想の違いが生まれる。様々な思想の混在する現実世界は、人間みな仲良くという理想郷のようなものは幻想に等しい。何が正しいかなんて答えは統一される事なんて無いので結局考え過ぎたとて論議したとてそこまで意味のない事に私は思う。
新たな視野を得る為に論議もたまには良いが、考え過ぎても無意味な事に人生の時間を割くのは終いにして、どうせなら前を向いて新たに出来る事でも増やした方が自分自身にとっても最良。一歩一歩日々精進。
様々な思想の混在する世界で、美しいと思うものは美しいと感じて生きてゆきたい。